2016年3月14日月曜日

放映権ビジネスはスマホ中心にシフトする


(写真:B.LEAGUEウェブサイトより)

B.LEAGUEとSoftBankとの巨額スポンサーシップ契約の背景

先日発表されたB.LEAGUEとSoftBankとの巨額スポンサーシップ契約ですが、
(B.LEAGUEとSoftBankが巻き起こすバスケットボール革命を参照)
SoftBank側の経営戦略からその背景を理解しようとするコラムがいくつか出始めました。
今のところ、代表的なものが以下の2つです。

孫社長がバスケに120億円もつぎ込む理由(東洋経済オンライン)

最強のタニマチ。ソフトバンクが起こす「スポーツガラガラポン」(NewsPicks:有料記事)

これらの要点は 、ソフトバンクグループのシナジー(相乗効果)を活用したビジネス展開の将来性といえるでしょう。大きな枠組的には、以下3つのスパイラルになると思います。
・Bリーグを含め、NPB、MLB、大相撲、英プレミアリーグなどの「キワ−コンテンツ」動画放映権を取得
・上記権利をスポナビへのアクセス数拡大につなげ、広告料収入増加に活かすとともに、スマホ契約者の獲得と維持に活用しつつ、新たなキャッシュを得る(ソフトバンクユーザーは月額500円、それ以外は月額3,000円で動画見放題)
・大々的なPR(今回の記者会見など)を行い、社会的認知度と興味関心の向上を狙う

かつてB Sky Bがイングランド・プレミアリーグ発足時の独占放映権を獲得し、それを 有料放送契約者数の劇的な拡大につなげたいわゆるマードック化現象」のネット・スマホ版だと思うとわかりやすいですね。これ、視聴できるコンテンツ的にも、支払金額的にも、ソフトバンクユーザーにとっては極めて魅力的な内容だと思います(他の有料テレビ放送と比較すれば一目瞭然ですね)ので、スマホ契約2年縛りの緩和も相まってSoftBankユーザーが拡大する可能性も強く感じます。
携帯3社「2年縛り」緩和 契約期間後、自動更新せず (日本経済新聞2016年3月12日付け)

さて、前置きが長くなりましたが、この巨額契約に関し、以下ではちょっと違う視点からより複合的な理解を深めていきたいと思います。

それが「有料ネット放送の競争激化」と、それに伴う「コンテンツ獲得競争の激化」です。まずは一点目から触れていきましょう。

「(有料)ネット放送の競争激化」

Youtube以降、ネットの高速化の進展も相まってネット放送ビジネスが急激に発展してきました。スマホの普及も相まって、この動きはまだまだ成長しています。なんと2018年には総トラフィックの75%が動画になるという予想も報告されています。
2018年には動画が総トラフィックの75%に──Cisco予測(IT Meadiaニュース)

そんな中、競争の並に飲み込まれて動画サービスから撤退する企業も出てきています。例えば、Ustreamは日本法人を撤退させています。
時代の寵児Ustream、ひっそり撤退…なぜ視聴者&配信側に見捨てられた?甘さがアダ(Business Journal)
一方でサイバーエージェントのように、動画ビジネスに社運をかけて取り組む企業も出てきています。
サイバー藤田社長"リスク覚悟"の動画勝負(東洋経済オンライン)

「コンテンツ獲得競争の激化」

 こうしたネット動画配信ビジネスに関する再編が進むと、もちろん視聴者を獲得するためのキラーコンテンツの奪い合いがおきます。話題性があり、動きがダイナミックなスポーツは今も昔もキラーコンテンツとしてピッタリな訳です。

SoftBankによる今回のBリーグとの契約は、こうした背景のもとで、なんとしてもキラーコンテンツを手に入れたいという想いがすけて見えます。その収益性を懸念する声もありますが、大事なことは「ライバルにコンテンツを渡さないこと」です。SoftBankの場合は、複数のビジネスを組み合わせることができますので、例えば、放映権ビジネス単体でみると赤字でも、グループのネット、スマホ事業で十分回収できる目論見を立てることができるわけです。

今回の一件で、確実に放映権ビジネスはスマホ中心にシフトすることが明らかになりました。今後はSoftBankに追随するため、docomoやauでも同様の動きが加速する可能性があります。つまり、スポーツ界全般がスマホ向け放映権料によって潤う環境になりつつあるということです。問題はスポーツ界側がこの流れを把握すすとともに、流れにに如何に乗るかという事(企画提案力)と、手に入れた資金をどこに、どのように使っていくのか?という投資戦略になるでしょう。

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