2016年4月22日金曜日

アルビレックス新潟、招待券の配布数削減で取り戻しつつあるゴール裏の密度


昨年、チケッティングの戦略転換を実施したアルビレックス新潟。

端的に言えば、招待券の配布数を絞り、有償券の販売に切り替えたわけです。
その効果については、「観客数は平均で約1,000人減ったものの、チケット売上は年間5,000万円アップ」というもの。

その詳細はこちらの記事にまとめてありますので、今一度ご確認ください。
招待券大幅削減の経営効果:アルビレックス新潟のチケッティング

さらにこの裏側で何が起きているかというと、
写真の通りゴール裏の密度が濃くなっているのです。


クラブの方ともこの件について話をしました。
その結果、こんな感じでお互い納得しました。

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招待券が手に入らない
   ↓
チケットを買おう!
   ↓
どうせ買うなら盛り上がりたい!
   ↓
値段が安いし、ゴール裏だ!!
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これが「久々のゴール裏はやっぱり楽しいぜ!また来よう!!」につながっているか、検証が必要ですね。(これは私の仕事ですね)


ちなみに密度の濃いゴール裏から聞こえる声援のボリュームはやっぱり素晴らしいです。
プロスポーツ興行において、観戦者が感動を覚える重要な要因の1つが実は「音響」によるものだと言われています。

確かに私も9年前に新潟に赴任し、初めてビッグスワンに赴いた際、サポーターがチームのパフォーマンスと連動して繰り出すあの大声援に心から感動しました。ソフトバンク時代のヤフードームの声援も凄かったですが、当時のビッグスワンはそれを凌駕していたと私は感じています。

あの感動をまたみんなで味わいたいですね。


2016年4月14日木曜日

アルビレックス新潟の節目マーケティング:その2【招待事業との連動】

前回の「アルビレックス新潟の節目マーケティング」でお伝えしました市内小学校入学式への電報送付の取り組み、何と試合観戦招待事業としっかり連動していました。

これも実に古典的な方法ですが、申込に関してはしっかりと現代社会のデジタル化に対応していましたので詳しい方法をご紹介したいと思います。

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先週、仕事を終えて自宅に帰ると、食卓にこんなものが置いてありました。


そうです、クラブから新一年生へのプレゼント、下敷きです。
(下敷き自体が懐かしいのに、サイズがB5とさらにくすぐります)

選手・監督の顔と名前、そして県内出身選手には地元市町村名もバッチリ明記。
これも地味ながら効果的なアプローチですよね。

で、大事なのはここからです!
裏をめくると、こんな感じになっていました。


ポイントは3つ。
1.年間試合日程表
2.アルビレックス新潟選手の似顔絵コンテスト作品募集
3.親子観戦招待告知&申込

もちろん、ここで注目すべきは3番です。
下敷き中央のQRコードを携帯やスマホで読み取ると、親子観戦チケットの申し込みページが開きます。
ここに必要枚数、観戦希望日、住所、氏名等を記入だけでOK。
大人1名、子供2名(中学生も可能)まで無料で観戦できちゃうのです。

ちなみに、枚数の追加も大人1,600円、子供500円でOK。
座席のアップグレードは1枚500円でOKです。

しかも、この招待事業は新潟市の文化スポーツ部スポーツ振興課が主催。
つまり、ご家族とって無料のチケットも、クラブにとってはきちんと売上になっているのです。

また、申込にはメールアドレスの記入が必須であるため、
事後のダイレクトメールマーケティングにも活用できそうです。
(この点は個人情報取り扱いに関するページに明記されていないので実際に活用できるのかどうかはわかりませんが・・・)

以上がアルビレックス新潟が小学校入学という節目に行っているマーケティング活動です。
地道ながらも非常に効果的かと思いますが、入学時はあれこれ沢山資料をもらいます。
色んな行事や準備も山盛り。。。
なので、実際に利用される方を増やすためには、継続的な告知活動が大切になるでしょう。

折角の機会なので、私もこのサービスを使ってみようと思います。

2016年4月9日土曜日

アルビレックス新潟の節目マーケティング


次男が昨日小学校に入学しました。

妻とともに入学式に参加し、受付を済ませて控室に向かうと・・・。

入り口の廊下に祝電が貼られていました。

その中の1枚がアルビレックス新潟と所属するFW平松選手からのもの(上記写真)。

子供たちよりもサポーターの親御さん大喜びでした。

ちなみにアルビレックス新潟は卒業式でも市内(ひょっとしたら県内?)の小学校に電報を送っています。

小中学生招待事業(無料招待もこの枠は継続しています)とタイミング的に連動すると、より効果的だと思います。その際は出し方を注意しないといけませんが・・・。

こうした地域やサポーターの「節目」をクラブが大事にしてくれる姿勢は素晴らしいですね。

欧州のビッグクラブでは、シーズンシートホルダーやクラブ会員が望めば結婚式やお葬式にチームの監督名で電報が届くというサービスを行っているところもあります。

プロスポーツクラブが提供するものは試合を通じた感動や興奮、そして共感だとすれば、そうしたサポーターの節目節目をともに祝ったり、悲しんだり、励ましたりしてくれるサービスは、サポーターや周囲の方々の心をガチッと掴み、クラブへの共感を強化することに大いに役立つはずです。

2016年4月5日火曜日

Jリーグマネジメントカップにみるアルビレックス新潟の効率的経営

デロイト・トーマツ社「J.League Management Cup 2014」表紙

2013年12月10日付新潟日報朝刊に私の研究成果を基にした「アルビ“やりくり上手”」という記事が掲載されましたが、今回のデロイト社の調査でも同様の結果となりました。

投資対効果の分析結果である「経営戦略」において、新潟は浦和と並んで1位。
ちなみに分析対象である2014年は、新潟12位、浦和2位でした。

つまり、かけたお金でみると、新潟は安い割に好成績だったということです。

この効率的経営を支える皆さんの努力を褒め称えると同時に、そのノウハウはフィールドマネジメントにおける研究対象に十分なりうるでしょう。

しかし、中長期的にみると、プロスポーツのリーグ戦は年俸総額と成績との間に強い相関関係があります。したがって、現場の努力だけでは難しいのも事実。これからはアルビのフィールドマネジメントにおける効率性はそのままに、より多く選手年俸に投資出来るだけの経営体力をつけていきたいところです。

なお、調査結果は下記からDLできます。


ちなみにデロイト・トーマツ社はあのFootball Money League(通称リッチリスト)で有名なデロイト社の日本法人。

最近スポーツビジネスに力を入れているようで、リッチリストの翻訳版やその他の資料も積極的に無料公開しています。
下記サイトをご覧ください。