企業とNPB球団との関係についてコメントを書いたのですが、
かなり長くなってしまったのでこちらのブログに転載します。
ここでは以下の流れを大まかに解説しています。
①NPB球団が歴史的に親会社の「マーケティングの客体」であったこと②ゆえに球団が独自に稼ぐことを求められなかったこと (いわゆる国税庁通達がこの性質を強めたこと)③バブル崩壊後の社会変化の中で価値観が変わり、 球団経営に独立採算が求められるようになったこと④球団経営にビジネスのノウハウが注入されるようになり、 宣伝効果はそのままにグループシナジーが生み出されるようになったこと
ご興味ある方は以下をお読み下さい。
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NPBの宣伝価値は今もとてつもないです。
そのため、昔から球団は親会社の広告塔であり、「マーケティングの客体」という側面が色濃かったワケです。
そもそもNPB誕生の発端は新聞業界の部数拡大競争で甲子園(朝日新聞)、選抜・都市対抗野球(毎日新聞)を抑えられていた読売新聞が大逆転を狙って企画した「日米野球」がきっかけになっています。
アメリカメジャー選抜と対戦したこの日米野球は大成功しましたが、
学生主体の日本代表チームがプロと対戦することの教育的影響を問題視した文部省が「
野球統制令」を発令し、ここにプロとアマの断絶が最初に生まれました。
この課題を回避するために読売新聞が中心となって発足させたのが巨人軍であり、「職業野球連盟」なわけです。
発足当時は新聞社と電鉄企業が球団の親企業として名を連ねました。前者は発行部数拡大を、後者は乗降客の増加を目論んだものであり、現在の目で見れば、これは親会社の明確なマーケティング活動といえます。
あくまで本業の成果向上を目指したものですから、球団単体のビジネスは度外視という状態であり、1964年には既に「球団経営はビジネスとはかけ離れている」という旨の指摘(しかも、球団オーナー自らの!)がなされています。
そこにはいわゆる国税庁通達が広告宣伝費名目での親会社による球団赤字の期末補填を認めている事も手伝って「自力で稼ごう(稼がせよう)」とする意識が育まれないまま、現在から10年ほど前までその体制が引き継がれてきたわけです。
(もちろん、そこには「スポーツビジネス」という概念も、意識も、人材も、手法も希薄だったので仕方ないといえばそうなのかもしれませんが。)
そんな中、バブル後の不況、株主主権意識の高まり、社員からの反発(なんでリストラしてる一方で赤字球団は残すの?選手にあんな年俸払うの?という意識の高まり)、そして巻き起こった球界再編問題などがあり、球団の独立採算に向けた意欲が高まってきました。
そこにビジネスの手法が組み合わさり、球団は黒字化に向け「マーケティングの客体から主体」へと変化します。
楽天や、ソフトバンク、DeNAなど大きな結果を出す球団も生まれ、それが新たな親会社にとっての価値も高める事になり、グループシナジーが生み出せる体制になったのです。つまり、広告宣伝効果を保ちつつ、黒字の球団を親会社は保有できるようになったということです。
なのでビジネスがしっかりでき、お金もあるけど知名度や社会的信用を高めたい新興企業にとってNPB関連は最高に欲しいコンテンツ。そりゃ投資するよな、というのが今の状況です。