2016年3月22日火曜日

新年度、スポーツビジネスを学ぶにあたって:【その1】実務実践的10冊



そろそろ新年度が始まります。
4月から大学の講義やゼミでスポーツビジネス・スポーツマネジメント・スポーツマーケティングなどを学び始める学生さんも多いことでしょう。

10数年前まではこの分野の日本語書籍を探すことは本当に苦労しましたが、
現在は非常に多くの文献が手に入ります。ネットや新聞を含めると、その数はさらに増えます。

それは現場の方や、研究者の失敗や苦労の積み重ねの上にある非常に尊いものなのですが、「一体何から読んだらいいものか・・・?」という方も多いのではないでしょうか。

そこで、この分野を学ぶにあたって、初期に読んでおくとその後の理解が進む本をいくつかご紹介しておきます。プロスポーツ関係者やそこを目指した方々にとっては懐かしいと感じるかもしれません。


1.エスキモーに氷を売る
 万年最下位でお客さんもまばらだったNBAのニュージャージー・ネッツ(現・ブルックリン・ネッツ)のアリーナを満員にし、チームをチケット売上伸び率業界No.1に押し上げた元社長ジョンスポールストラによる一冊。一般的なマーケティング理論のスポーツ現場への応用をまさに実践的に学べる内容です。非常に分かりやすく、中身もワクワクしながら読み進めることができます。顧客データベースの活用や、ダイレクトメールの開封率を高める作戦などは現在でも十二分に使えるアイディアです。続編の『エスキモーが氷を買うとき』もマストです!

2.球界再編は終わらない 
 
 ここ数年ビジネスが極めて好調な日本プロ野球界(NPB)。しかし、10年ほど前には1リーグ10球団に減少する危機にも追い込まれていました。一体その背景には何があったのでしょうか?日本経済新聞社による1冊を通じて、日本のプロスポーツが当時までどのような状況にあったのか理解しておくことをお勧めします。
3.パ・リーグがプロ野球を変える
 上記で紹介した本はいわゆる2005年の球界再編問題を扱っていますが、その後、プロ野球はパ・リーグを中心に急激な改革を推し進めました。まさかパ・リーグ球団がここまでの発展を遂げるとは、当時にわかには信じがたいものがありました。その裏には、ビジネス面で大変苦労したパ・リーグが一致団結して推し進めてきたリーグビジネスと各球団の改革があります。この分野の草分け的存在である帝京大学の故・大坪正則先生による一冊です。
 4.プロ野球構造改革論 
日本プロ野球界のビジネス改革に向けて、MLBとの比較を中心にその構造の違いを明確に指摘した一冊。楽天球団創設時のメンバーであり、今年度からJリーグの特任理事にも就任した並木裕太さんの指摘は今一度掴んでおくべきです。 

5.実践スポーツビジネス・マネジメント 
 球界改革の旗手として一定の成功を収めた千葉ロッテマリーンズ。そこで活躍された小寺昇二さんによる実践的回顧録とも呼べる一冊。当時のロッテ球団で何がどう行われたのか把握できる中身になっています。他国のリーグやクラブのビジネスモデルはもちろん、ビジネス用語や概念を理解することもできます。

6.Jリーグのマネジメント 
日本のサッカーを舞台に巻き起こったJリーグというイノベーションをマネジメントの側面から解きほぐしています。この分野のパイオニアの1人であり、Jリーグの経営諮問委員でもあった広瀬一郎さんによる 一冊。

7.Jの履歴書 
Jリーグ初代チェアマンで最近は混迷する日本バスケットボール界を1つにまとめあげたまさにスポーツイノベーター川淵三郎さんによる回顧録。Jリーグ以前の日本サッカー界はもちろん、企業スポーツの仕組み、プロ野球読売巨人軍渡邉恒雄さんとのバトルについても書かれています。 企業名が入らないことで有名なJクラブですが、それは「呼称」に限った話。実は「法人名」と「チーム名」には企業名が入ってもOKなんです。その制度設計に関する話は実に面白いですよ。

8.ゴールは偶然の産物ではない FCバルセロナ流世界最強マネジメント  
 財政危機に瀕する勝てないチームの復活を如何に成し遂げたか?バルサ元副会長で現在はシティフットボールグループCEOのフェラン・ソリアーノ氏による一冊。バルサ改革のモデル、実はマンUなんですね。私、彼の講義を実際に聞かせてもらいましたが、実にロジカルながらもシンプルでした。要は実践力なんですよね。これ、かなりオススメの一冊です。

9.ビジネスで大事なことはマンチェスター・ユナイテッドが教えてくれる ~勝つための経営戦略のつくり方 
バルサがモデルにしたマンUのビジネスについて、日本トップのコンサルタント・山本真司さんと前述の広瀬一郎さんによる対談集。CRMの話は非常に面白く、大事なことはお金じゃなくてプライスレスな経験であることが理解できます。日本でも十分応用可能ですよ。

10.意地を通せば夢は叶う! bjリーグの奇跡  
今年9月から始まるB.LEAGUEに一本化されることが決まり、最後のシーズンとなる日本初の5人制プロバスケットボールリーグbjリーグ。 コミッショナーの河内敏光さんが一体なぜbjリーグを作ることにしたのか?既存のバスケ界にはどんな問題があったのか?そんな疑問に触れている一冊です。最後のシーズン、そして生まれ変わる日本のバスケを前に、今一度目を通しておくべき一冊です。

以上、もうすでに中古でしか手に入らないものも多くありますが、ここでご紹介した10冊をざっと眺めておけば、プロスポーツビジネスで必要なファン開拓のこと、そして、日本を中心に野球、サッカー、バスケのこれまでを掴むことができます。自分の興味関心や今後進むべき方向性を検討するのに役立つことでしょう。他にも紹介すべき本は多々ありますが、それはまた別の機会に!

0 件のコメント:

コメントを投稿