2016年3月30日水曜日

新年度、スポーツビジネスを学ぶにあたって:【その2】教科書的10冊



前回の新年度、スポーツビジネスを学ぶにあたって:【その1】実務実践的10冊
このブログの中ではご好評を頂き嬉しい限りです。

ちなみにご紹介した本は全て私が読んだものに限定していますので、
きっと
「あの本がないぞ!」
とか
「この本があるのにあれがないのはどうして?」
という方も多いでしょう。

それは偏に私の不勉強によるものですので、何卒ご了承下さいm(_ _)m



さて、今回は教科書的10冊のご紹介です。
もちろん、こちらも全て私が実際に読んだものばかりです。
他にも名著がたくさんあると思いますが、その点は上記同様どうぞご了承下さい。

1.スポーツマネジメント 改訂版 
この分野のわが国における嚆矢ともいえる早稲田大学・原田宗彦先生と、女性スポーツの発展および日本のスポーツマネジメント研究の国際交流において顕著な業績を残されている順天堂大学・小笠原悦子先生の編著による一冊。当該分野の多くの先生方も分担執筆にて参加されており、スポーツマネジメント学が盛んになった背景や、この分野に必要とされる基礎的知識・理論が網羅的に整理されています。

2.スポーツマネジメント入門  :24のキーワードで理解する
元電通マンでトヨタ杯や日韓W杯にも深く関わった広瀬一郎さんによる一冊。上記の本よりも、より経営実務(MBA)的であり、クラブやリーグに関わる方、またその世界を目指す方にはもってこい です。

3.スポーツ経営学
スポーツ社会学者として高名な山下秋二先生(筑波大⇒立命館大)らのグループによる一冊。研究者を目指す方(特に院生や大学院を目指す学部生)は「第5部スポーツ経営学の研究法」 はしっかり読んでおきましょう。

4.プロスポーツ経営の実務 
伊藤忠商事時代にNBAとのビジネスをご担当され、その後帝京大学にて教鞭を取られた故・大坪正則先生による編著。大坪先生以外はプロスポーツ組織の現場ご活躍される方々の「生の経験」が書かれており、非常に勉強になります。法務、チケット、スタジアム、放映権、マーチャンダイジング、スポンサーシップの6点を現場のダイナミクスと共に学べる一冊です。分量もコンパクトでさっと読めます。 

5.スポーツマーケティング 
上記1で紹介した原田先生が編著、大阪体育大学の藤本淳也先生、びわこ成蹊スポーツ大学(現・早稲田大学)の松岡宏高先生が著者である一冊。 スポーツ消費者行動研究の系譜を理解しながら、この分野に必要とされる基礎知識を習得するのにオススメ。

6.スポーツマーケティングを学ぶ 
上記2で紹介した広瀬一郎さんによる一冊。スポーツマーケティングをメディアの発達によって誕生・発展した現象であると捉える考え方やその系譜がわかりやすく理解できます。上記5と併せて読むと、同じ「スポーツマーケティング」という言葉を使っていても、扱う範囲や内容が異なるだけでこうも変わるものかと感じることができますよ。
7.スポート・マーケティングの基礎 
 
はい、タイプミスではありません(笑)。「スポーツ」と「スポート」の違いからこの本は始まります。アメリカのスポーツマネジメント系大学で使用するテキストの翻訳版であり、この分野では有名なピッツ教授とスタットラー教授による一冊です。個人的にアメリカ的なものの見方や表現の仕方(これは翻訳の問題?)がしっくりこない点が多いのですが、 あちらの授業内容やそこで扱われている各種の数字などを理解するにはもってこいです。

8.スポーツ経済学
テンプル大のマイケル・リーズ教授とスキッドモア大学のピーター・フォン・アルメン教授による一冊。前半は「スポーツで学ぶ経済学」という感じ。欧州サッカーリーグとの比較によるスポーツリーグの制度設計に関する章は特に大事だと思います。 
9.スポーツの経済学 
東大からロッテに投手として入団し、引退後はコロンビア大学にてMBAを取得。さらに福岡ソフトバンクホークスにおいてチーム編成担当取締役まで務めた江戸川大学の小林至教授による一冊。至さんの視点は他の著書とも異なり、非常に独創的で「はっ!」と気付かされる点が非常に多いです。文章内の主張の根拠となる出展が明記されていない点が多く、その部分は今後の改訂を期待するところですが、アメリカ4大スポーツを中心に、欧州、そして日本のデータも満載で、数字を基に学びたい人には非常にオススメです。

10.スポーツビジネス概論2 
すいません。先に謝っておきます。私が第3章を書かせてもらっています(笑)。元広島カープで通訳として活躍された近畿大学・黒田次郎先生らによる編著です。私が担当したのは「プロスポーツのマーケティング」。クラブのマーケティングがチーム強化と密接に関係している点を指摘し、その上でスタジアムを満員にすることがクラブのマーケティング上、最も重視すべきであると主張しています。また、満員のスタジアム作りに向け、ゲームデーエクスペリエンスの提供とファンとの絆作りが核になることを日米欧の事例を基に解説しています。

以上、教科書的10冊でした。最後の一冊、発売されたばかりですので、皆さんどうぞ宜しくお願い致しますm(_ _)m

2016年3月24日木曜日

フォロワーシップとボスマネジメント

経営学・商学部を中心にリーダーシップを教える大学はかなり多いように思います。
その一方でフォロワーシップを教えている大学ってどれくらいあるのでしょうか?

我々の大多数がリーダーになるよりフォロワーになることが圧倒的に多い中で、
フォロワーシップを教えないことは組織の生産性に大きく影響しているのではないでしょうか??

ここには1人のリーダーに組織全体の成果向上に関する期待をかけるよりも、
大多数のフォロワーが組織目標の達成に向けて如何にしてリーダーを「うまく機能させるか?」を考えた方が効率的であるのではないかというモノの見方があるわけです。

また、リーダーシップとフォロワーシップはコインの裏表同様、常に一対の関係になっているはずです。ですから片方だけを学んだり、片方だけに期待したり、はたまた責任を追わせたりするのはおかしなことと言えます。そう考えると、組織の発展に向けてフォロワーシップ教育を実施することは大学の社会的責任の1つかもしれません。これは自戒を込めて。。。


このリーダーシップとフォロワーシップの関係においては、「リーダーがフォロワーをマネジメントする」という考え方が一般的であると思いますが、上記の通り、双方が一対である以上、「フォロワーがリーダーをマネジメントする」という考え方も持ち合わせないといけなくなります。

後者の概念を示すのが「ボス・マネジメント」です。

どんな上司であれ、担当する組織や部下に対する指揮命令権を持っています。ですので、部下は上司を避けて通ることができません。お互いに意見が合わず反目し合い、それが職場の人間関係や生産性全体に対して悪影響を及ぼしている状況は多くの人が体験していることかもしれません。

そんな中、「この上司がいる限りダメだよ」と白旗をあげてしまっている部下の方も多いと思います。
その場合、部下の主な選択肢は3つです。
 ①面従腹背(上司の言うこと聞いているフリして全く違うことをやる)
 ②全面対決
 ③異動・転勤・転職
いずれの場合も組織全体や部下個人にとってのダメージは大きくなります。
であれば、上司をうまくマネジメントしながら自分のやりたい仕事をやれる環境を手に入れようとするほうが生産的ですよね。

このフォロワーシップとボスマネジメント、アメリカのMBAでは必修になっているところも多いとか。
確かに競争戦略とか、ファイナンスとか、マーケティングとか、高度な機能に関する知識も大事ですが、それよりも日々の職場環境や人間関係のマネジメントのほうがよっぽど現実味のある喫緊の課題ですよね。

これから新年度を迎えて多くの組織においてリーダー(ボス)とフォロワーの関係も組み替えられると思います。そのタイミングでフォロワーの立場から組織と自らの良き環境づくりに向けてまずは知識を仕入れてみるのも如何でしょうか?


 

2016年3月22日火曜日

新年度、スポーツビジネスを学ぶにあたって:【その1】実務実践的10冊



そろそろ新年度が始まります。
4月から大学の講義やゼミでスポーツビジネス・スポーツマネジメント・スポーツマーケティングなどを学び始める学生さんも多いことでしょう。

10数年前まではこの分野の日本語書籍を探すことは本当に苦労しましたが、
現在は非常に多くの文献が手に入ります。ネットや新聞を含めると、その数はさらに増えます。

それは現場の方や、研究者の失敗や苦労の積み重ねの上にある非常に尊いものなのですが、「一体何から読んだらいいものか・・・?」という方も多いのではないでしょうか。

そこで、この分野を学ぶにあたって、初期に読んでおくとその後の理解が進む本をいくつかご紹介しておきます。プロスポーツ関係者やそこを目指した方々にとっては懐かしいと感じるかもしれません。


1.エスキモーに氷を売る
 万年最下位でお客さんもまばらだったNBAのニュージャージー・ネッツ(現・ブルックリン・ネッツ)のアリーナを満員にし、チームをチケット売上伸び率業界No.1に押し上げた元社長ジョンスポールストラによる一冊。一般的なマーケティング理論のスポーツ現場への応用をまさに実践的に学べる内容です。非常に分かりやすく、中身もワクワクしながら読み進めることができます。顧客データベースの活用や、ダイレクトメールの開封率を高める作戦などは現在でも十二分に使えるアイディアです。続編の『エスキモーが氷を買うとき』もマストです!

2.球界再編は終わらない 
 
 ここ数年ビジネスが極めて好調な日本プロ野球界(NPB)。しかし、10年ほど前には1リーグ10球団に減少する危機にも追い込まれていました。一体その背景には何があったのでしょうか?日本経済新聞社による1冊を通じて、日本のプロスポーツが当時までどのような状況にあったのか理解しておくことをお勧めします。
3.パ・リーグがプロ野球を変える
 上記で紹介した本はいわゆる2005年の球界再編問題を扱っていますが、その後、プロ野球はパ・リーグを中心に急激な改革を推し進めました。まさかパ・リーグ球団がここまでの発展を遂げるとは、当時にわかには信じがたいものがありました。その裏には、ビジネス面で大変苦労したパ・リーグが一致団結して推し進めてきたリーグビジネスと各球団の改革があります。この分野の草分け的存在である帝京大学の故・大坪正則先生による一冊です。
 4.プロ野球構造改革論 
日本プロ野球界のビジネス改革に向けて、MLBとの比較を中心にその構造の違いを明確に指摘した一冊。楽天球団創設時のメンバーであり、今年度からJリーグの特任理事にも就任した並木裕太さんの指摘は今一度掴んでおくべきです。 

5.実践スポーツビジネス・マネジメント 
 球界改革の旗手として一定の成功を収めた千葉ロッテマリーンズ。そこで活躍された小寺昇二さんによる実践的回顧録とも呼べる一冊。当時のロッテ球団で何がどう行われたのか把握できる中身になっています。他国のリーグやクラブのビジネスモデルはもちろん、ビジネス用語や概念を理解することもできます。

6.Jリーグのマネジメント 
日本のサッカーを舞台に巻き起こったJリーグというイノベーションをマネジメントの側面から解きほぐしています。この分野のパイオニアの1人であり、Jリーグの経営諮問委員でもあった広瀬一郎さんによる 一冊。

7.Jの履歴書 
Jリーグ初代チェアマンで最近は混迷する日本バスケットボール界を1つにまとめあげたまさにスポーツイノベーター川淵三郎さんによる回顧録。Jリーグ以前の日本サッカー界はもちろん、企業スポーツの仕組み、プロ野球読売巨人軍渡邉恒雄さんとのバトルについても書かれています。 企業名が入らないことで有名なJクラブですが、それは「呼称」に限った話。実は「法人名」と「チーム名」には企業名が入ってもOKなんです。その制度設計に関する話は実に面白いですよ。

8.ゴールは偶然の産物ではない FCバルセロナ流世界最強マネジメント  
 財政危機に瀕する勝てないチームの復活を如何に成し遂げたか?バルサ元副会長で現在はシティフットボールグループCEOのフェラン・ソリアーノ氏による一冊。バルサ改革のモデル、実はマンUなんですね。私、彼の講義を実際に聞かせてもらいましたが、実にロジカルながらもシンプルでした。要は実践力なんですよね。これ、かなりオススメの一冊です。

9.ビジネスで大事なことはマンチェスター・ユナイテッドが教えてくれる ~勝つための経営戦略のつくり方 
バルサがモデルにしたマンUのビジネスについて、日本トップのコンサルタント・山本真司さんと前述の広瀬一郎さんによる対談集。CRMの話は非常に面白く、大事なことはお金じゃなくてプライスレスな経験であることが理解できます。日本でも十分応用可能ですよ。

10.意地を通せば夢は叶う! bjリーグの奇跡  
今年9月から始まるB.LEAGUEに一本化されることが決まり、最後のシーズンとなる日本初の5人制プロバスケットボールリーグbjリーグ。 コミッショナーの河内敏光さんが一体なぜbjリーグを作ることにしたのか?既存のバスケ界にはどんな問題があったのか?そんな疑問に触れている一冊です。最後のシーズン、そして生まれ変わる日本のバスケを前に、今一度目を通しておくべき一冊です。

以上、もうすでに中古でしか手に入らないものも多くありますが、ここでご紹介した10冊をざっと眺めておけば、プロスポーツビジネスで必要なファン開拓のこと、そして、日本を中心に野球、サッカー、バスケのこれまでを掴むことができます。自分の興味関心や今後進むべき方向性を検討するのに役立つことでしょう。他にも紹介すべき本は多々ありますが、それはまた別の機会に!

2016年3月19日土曜日

優秀賞受賞【大学生のベースボールビジネスアワード2015】



ゼミで毎年チャレンジしている読売巨人軍orプロ野球界を題材とした全国ビジネスプランコンテスト「大学生のベースボールビジネスアワード」。

今年の福田ゼミは5チームが練りに練った企画書を提出し、その中の1グループが優秀賞(全国5点)を受賞。本日東京ドームで開催された授賞式に参加し、大変な名誉にあずかって来ました。




受賞したチームの企画は「G・シーサーリーグ」という題名で、沖縄で毎年開催されているキャンプ中の練習試合を日韓台の球団によるリーグ戦にし、沖縄の地域活性化に貢献しつつ、新たなビジネスにつなげようというもの。アメリカはアリゾナ州のMLBキャンプで開催されている「カクタスリーグ」を参考に、選手プロデュース弁当の開発と、その後のコンビニ販売につなげるといったオリジナリティを盛り込みました。

詳細は新潟経営大学福田ゼミ公式facebookページをご覧ください。
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