2015年10月20日火曜日

2013、14年と春休みはゼミ生達を連れ、アメリカでスポーツビジネス研修をさせて頂きましたが、
2015年はヨーロッパでの研修となりました。
場所はドイツとオランダ。
欧州フットボールビジネスの一角を担うドイツを拠点に、
小国ながらも独自の存在感を確保するオランダ にも足を伸ばし、
両国の文化、制度、そしてビジネススタイルの違いを一辺に感じてこようと言うものでした。

気になる訪問先と中身は、
①シャルケ04・・・練習&施設見学
②ボルシア・ドルトムント・・・国際マーケティングの講義&スタジアムツアー
③ボルシア・メンヘングラートバッハ・・・スタジアムツアー
④レバークーゼン・・・バイ・アレーナでの対ダルムシュタット戦観戦
⑤VVVフェンロ・・・講義&スタジアムツアー&試合運営体験&試合観戦
というものでした。

現地での様子は新潟経営大学福田ゼミ公式フェイスブックページに掲載していますので
是非そちらをご覧ください。

今回の研修、スタジアム、マーケティング、文化基盤という観点から改めて見つめなおすと
非常に学び多いものでした。

1.スタジアム
今回足を運んだスタジアムは全てクラブ所有でした。
シャルケ04、ボルシアMGに至ってはスタジアムにトップチームはもちろん、
下部組織の練習場、クラブハウスまで併設。
練習中から「試合」を意識できる作りで、下部組織に至っては「トップチーム昇格」が
嫌でも頭をよぎる作りになっています。
また、一見豪華なスタジアムに見えますが、
外壁やコンコースの天井の化粧板をなくすなど、
非常に簡素かつ経済的に作られている点も合理的でした。
「ああ、サポーターはスタジアムよりも、
スタジアムで展開されるサッカーをより良い環境で観たいんだから、
これでいいんだよな」という感じ。
この点は数千億円をかけて「立派な建物」を作ろうとするわが国の視点と大きく異るものでした。

2.マーケティング

VVVフェンロでは、「国境沿いのクラブ」であることを意識したマーケティングが展開されていました。
オランダのクラブでありながら、
「如何にドイツ企業との懸け橋となるか」
という観点での取り組みに力点が置かれていたわけです。
この点についても新潟経営大学福田ゼミ公式フェイスブックページに詳細をアップしていますので
是非ご覧になって下さい。⇒VVVフェンロビジネスクラブについて

また、毎試合8万人以上の観客動員を誇るBVBでは、
「サポーターの声に耳を傾けること」を専門に仕事をしているスタッフが5名いるそうです。
彼らは直接はもちろん、ネット、アンケートなどを通じて「ナマの意見」を収集し、
3ヶ月に1度の割合でクラブにフィードバックしているそうです。
「なので私たちは常にサポーターが何を求めているかわかるんだ」と担当者。
こうしたアナログな点に力を入れていることがわかったことは収穫でした。

3.文化基盤
仕事より自分の人生――。
職場より家族ーー。
よく言われますが、こんな価値観が明確でした。
もちろん仕事キッチリですが、残業までして、というわけではありませんね。

日曜日も未だキリスト教の安息日の影響が強いのか、
お店も休みが多く、日本のように「いつでも、何でも」あるという状態ではありませんでした。
そして、最大の違いは試合観戦スタイルでした。
端的に言えば、
「失敗に目を向ける日本人」対「チャンスやリスクを評価する欧米人」という感じです。
(アメリカ研修でもそれを感じたので欧米人と表現しました)
以前、テニスのクルム伊達公子選手が日本での試合中に
「ため息ばっかり!」と発言し、ニュースになりましたよね?
その時は伊達選手の言わんとするところがよく理解できなかったのですが、
今回の研修でハッキリしました。
日本人は失敗に目を向け、それにガッカリする傾向が強く、結果ため息が出る。
欧米人は失敗してもチャンスを作った選手を賞賛し、結果拍手や歓声を送る。
この違いです。

選手としてはポジティブになれる後者の環境が望ましいでしょう。
ですので、今回の研修では、日本のプロスポーツが発展するためには、
我々観戦者側も大きく変わらなければいけないという点を強く感じました。 

以上のように、個人的にはこれまでのアメリカ研修と併せ、
欧州も見れたことで今までぼんやりと感じていた日本プロスポーツの課題点みたいなものが
より鮮明なりました。
ですので、次は発展目覚ましい東南アジア、そして中東も経験したいと思っています。

0 件のコメント:

コメントを投稿